遺言書とは?
遺言書とは、被相続人が自身の財産を「誰に」「何を」「どれだけ」分配したいかという意思を記した文書のことです。遺言書を作成していな場合、法的には被相続人の財産は死亡時点から、民法で定められた「法定相続人」が「法定相続分」の割合で共有しているとみなされます。
遺産相続では、原則として「遺言者の意思」である遺言書の内容が法定相続よりも優先されることになっています。
なぜ遺言書が必要なの?
あなたは遺言書にどのようなイメージをお持ちですか?多くの方は多額の資産のある家庭や異父・異母きょうだいなど、特殊な事情のある家庭の人が作るものだと思い描くでしょう。「うちは資産家じゃないから」「うちの家族は仲良しだから」と遺言書が不要と思っていませんか?ところが実際には、比較的少額な遺産であっても、事前に対策を講じていなかったがために、相続が発生してからトラブルに発展してしまうケースが少なくありません。
しかし遺言書を用意し、財産の持ち主の生前の意思をはっきり示しておくことで、相続人たちも遺産分割の話し合いがしやすくなり、不必要な対立を生まずにスムーズに相続を進めることができます。
遺言書とは、あなたの気持ちを家族へ伝える最後の手紙なのです。
遺言書の種類
遺言書には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言 の3種類があります。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、全文を本人が自筆で(代筆不可)記載する遺言書のことです(民法第968条)。紙とペンと印鑑さえあれば、時と場所を選ばず気軽に作成ができますので、遺言書として一番多く利用されています。その一方で、書き間違えや必要事項の記載漏れ、内容が曖昧なため法的な書類としては無効となってしまうといったケースも多く、作成に際して注意が必要な遺言方法とも言えるでしょう。
②公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書のことです(民法第969条)。法務大臣から任命を受けた法律のプロである公証人による記載内容のチェックを受けるため遺言そのものが無効になりにくいことや、公証役場で作成し管理されるため紛失・偽造の心配がないという大きなメリットがあります。
当事務所では公正証書遺言の作成を強くおすすめしています。
③秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、公正証書遺言と同じく公証役場で手続きをしますが、「記載内容」を秘密にしたまま、「遺言書の存在」のみを証明してもらう遺言書のことです(民法第970条)。 誰にも(公証人にさえも)内容を知られず作成できるメリットはありますが、自筆証書遺言と同じく、内容に不備があった場合にが遺言自体が無効になるというデメリットもあります。現在、実務上はあまり使用されているものではありません。
次のような場合はご相談ください
以下のケースの方には、遺言を残しておくことを特におすすめします。
- 不動産が自宅のみで金融資産が少ない。
- 財産の大半が不動産である。
- 夫婦の間に子どもがいない。
- 先妻の子と後妻の子がいる。
- 内縁の妻にも財産を相続させたい。
- 財産を相続させたくない相続人がいる。
- 法定相続分とは違う割合で相続させたい。
- お世話になった人に財産を送りたい。
- 財産を寄付したい。